ピアノの才能は若いうちだけ

周りは振動だ将来が楽しみだと騒ぎ立てたけれどそう言われるたびに私の心はピアノから離れていっただからテレビの向こうで凄いとレポーターに言われてはしゃぐ母親とは対照にどこか冷めたような表情をしている少女に対して私は勝手に同じだと思ったのだった。
だから目の少女はそんな母親に嫌気がさしたのかそれとも能力が消えてしまったのかはたまた単に世間が少女に飽きてしまったのかわかん しばらくするとテレビに出なくなった。
私もほぼ時を同じくしてピアノにまつわる煩わしさに耐えられなくなりピアノから遠ざかっていった私が少女と再会したのは大学の入学式の後に行われたガイダンスの席だった私はその目を見た瞬間それがあの財部の少女の物だと気付いたのだ。
けれど世間は特に少女のことなど忘れてしまっていたようで誰一人として少女に特別な興味を持っている人間はいなかった。